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| 横浜市の姉妹都市のひとつ、米国カリフォルニア州サンディエゴ市は、世界の最先端を走るバイオクラスターとして世界的に有名です。このレポートでは、サンディエゴを始め、アメリカ及びカナダのバイオ事情について、横浜市ニューヨーク事務所が、現地の専門家に依頼してとりまとめた最新の情報をお送りします。 |
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◆◆◆ 2005年5月22日 ◆◆◆ |
カナダ国立研究所紹介(3)
National Research Council of Canada、Institute for Biological
Sciences (NRC-IBS)その2 |
カナダ国立研究審議会(The National Research Council of Canada、NRC)の中心的な存在で首都オタワ市にある生物科学研究所Institute
for Biological Sciences、IBS)が行っている2分野の研究活動、即ち神経生物学(Neurobiology)
と 免疫化学(Immunochemistry)の中で、前の報告では前者の神経生物学の現況についてのみご紹介した。
この報告書では、後者、免疫科学プログラムの内容を紹介したい。
NRC, Institute for Biological Sciences の免疫化学プログラム(Immunochemistry
Program):
このプログラムに属する研究室では、感染症並びに癌を抑えるために分子レベルの研究を行っている。ゲノミクスとプロテオミクス研究は、このプログラムの中でも重要な役割を占めていて、新しい医療法やワクチン設計の上で新らたなターゲットを導き出すものと信じられている。
現在、免疫化学プログラムには、基礎生理学の研究者から病気の動物モデルに関する経験をつんだ研究者まで合計110人が関与しており、研究内容により
Bioanalysis; Carbohydrate-Protein Systems; Immunobioloigy;
Glyco-conjugates and Tumor Immunology; Infections and Immunity;
Molecular Pathogenesis and Pathogen Genomicsの6グループに分かれている。
1.Bioanalysisグループ:
リーダーはDr. Jean-Robert Brisson(Scotto.Ferguson@nrc.gc.ca)。生理活性分子の構造決定、並びにこれらの作用を理解する上で必要な方法を開発するのがこのグループの役目で、ワクチン設計、細胞生物学、抗体、グリコミクス、プロテオミクス、ゲノミクス研究プログラムの研究者たちと協力している。NRCのゲノミクスとヘルスイニシアティブ・プログラム、地域の協力、産業上のパートナー、外部からの依頼者などにとって、Bioanalysisグループは核となる存在である。
現在進行中の研究内容は以下の通り。
1.細菌グリコリピド同定のための電気泳動、マススペクトラル、ナノスペクトラル戦術
2.超微量に存在する蛋白の同定とプロテオミクス/メタボロミクスの応用。
3.グリコプロテインの同定のための分析法。
4.エレクトロスプレイ・マススペクトル法のためのマイクロチップ分離システム開発。
5.全細菌細胞、癌細胞、代謝物、レジンに結合した薬剤などの、高分解マジックアングルスピニングNMRによる同定。
6.固相およびその適応システムにおける分子相互作用研究のための19F-ホモ核 及びヘテロ核−NMRの開発。
7.NMRと分子モデル化によるヘパリン−心臓毒物の分子的解明。
このグループの持つ設備は最新式のもので、以下のような機器を備えている。なお他のグループの機器の紹介は省略する。
マススペクトル設備:
Sciex API 3000(研究用トリプル4重マススペクトロメーター)」
Sciex Qstar
JEOL AX505H
Varian Saturn 2000GC/MS
Voyager Elite MALDI TOF Ultima
M@ADI
Micromass QTOF 2 QTOF Ultima
NMR設備:
High resolution NMR Specrtoscopy at 600, 500, 400, 200 MHz
(1H, 13C, 15N, 2H) probe 及び4-channel 600 MHZ spectrometer
(1H, 19F, X) MAS solid state capabilities
(1H, 31P, X), (1H, X) and broadband probes
Nanoprobe
HR-MAS
Cryoprobe
Molecular modeling:
InsightAccelrys software
Metropolis Monte Carlo modeling
2.Carbohydrate-Protein Systemsグループ:
リーダーはDr. William Sung (Wing.Sung@nrc.gc.ca)。新しい抗体及び改良型酵素の発見が目的で、これら蛋白系と炭水化物或いはその他のリガンドとの相互作用に関する分子レベルでの理解を深めることが求められている。
抗体に関する研究の焦点は(1)ファージ・ライブラリーのデザインと利用、(2)診断用或いは、特に癌に応用できる治療薬としての新しい抗体のエンジニアリングとデザイン、に絞られている。
酵素の研究は、工業上応用されている種々の植物繊維用グリコシダーゼのエンジニアリングに集中している。
現在実施中の研究は主として二つの分野である。第一は、ファージ・ライブラリー、腫瘍関連抗原、抗炭水化物抗体などを含む抗体工学; 第二は、グリコシダーゼ、パルプ漂白に利用したり動物飼料に用いられている酵素、キシラナーゼの蛋白工学、再生可能燃料生産と線維処理のためのセルラーゼの蛋白工学である。
3.感染と免疫性グループ:
リーダーは Dr. Girish Patel (Girish.Patel@nrc.gc.ca)。人や動物の病原菌による感染と宿主の免疫応答との関係に関し、実験動物を使って研究を行っており、特に多糖類と蛋白抗原の役割を理解することに力を入れている。最終目的は、ここで得られる知識を応用し、新しい診断法や種々の病原性細菌に対するワクチンを開発することで、その目的のためにNRC-IBSが開発したアジュバント技術を応用している。
現在進行中の研究には、ワクチンの保護的抗原として働く、或いは抗菌剤のための標的として役立つ細菌構造(炭水化物と蛋白)の決定;感染の病原生物学的研究;感染症に対するエリシター系、粘膜免疫性のためのアジュバントとしての「archael
lipid archaeosome(リポソーム)」 の利用、などがある。
4.グリココンジュゲートと腫瘍免疫学グループ:
リーダーはDr. Harry Jennings(Harry.Jennings@nrc.gc.ca)。このグループの研究は、感染症や癌に対する新しいワクチンの開発を目的としており、グリココンジュゲートワクチンとBCGワクチンのデリバリーシステム開発に力を入れている。
現在、免疫化学とグリココンジュゲート;炭水化物合成;細胞免疫学、の3分野の研究が中心となっている。また特殊プロジェクトとして、ポリマーを支持体とした多糖類の商業生産、酵素化学、糖付加機構、糖関連治療薬特にヘパリンと蛋白の相互作用に基づく阻害剤のデザイン、などがある。
5.分子病原性グループ:
リーダーはDr. Eleonora Altman(Eleonora.Altman@nrc.gc.ca)。グラム陰性細菌による感染に対する免疫的干渉を利用したワクチンのデザインと開発を目標として、リポポリサッカライド分子のユニークな抗原の決定を行っている。病気の予防と治療を目的としたリポポリサッカライドに基づくワクチン技術の開発に利用できるようなリポポリサッカライド構造を決定することがゴールとなっている。
現在Haemophillus influenzae、Neisseria meningitides、Helicobacter pyroriなどの短鎖リポポリサッカライドを持つ病原菌に焦点を当てている。この生合成の遺伝的機構、リポポリサッカライドの宿主への干渉作用、ワクチン設計のための細菌リポポリサッカライドの構造決定、運動性に関連したフラジェリンやその他の蛋白の翻訳後の修飾、などがテーマである。家畜に感染するその他の細菌についても検討中である。
6.病原菌ゲノミクス・グループ:
グループリーダーは、Dr. Martin Young (Martin.Young@nrc.gc.ca) 。現在、病原性細菌の遺伝子配列は急速に解明されている。バイオインフォーマティクス、DNAマイクロアレー、機能的ゲノミクスなどの方法により、これら細菌遺伝子の解析から感染過程での重要な部分の決定が可能となっている。グリカン、膜蛋白、表層蛋白など細菌の表層成分はワクチン開発の主要な候補者であり、これらの生合成に関与する酵素や翻訳後の修飾は新しい抗感染剤を設計する上で有用な対象となっている。
現在このグループでは、種々の病原性細菌、例えばCampyrobacter jejuni、Neisseria meningitides、Haemophilus
influenzaeなどの遺伝子配列を利用して、酵素グリコシルトランスフェラーゼや表層蛋白の機能的ゲノミクスを調べている。またC. jejuniの感染過程におけるこれら蛋白の役割を研究するために、DNAマイクロアレーが開発されている。
なお、現在行っている3種の研究プロジェクトは、ヒトの粘膜病原菌のゲノミクスを含むものである。
このほか、ブタ粘膜病原菌Actinobacillus pleuropneumoniae の遺伝子配列を決定している。 |
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