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    ニューヨーク発「北米のバイオ最新情報」

横浜市の姉妹都市のひとつ、米国カリフォルニア州サンディエゴ市は、世界の最先端を走るバイオクラスターとして世界的に有名です。このレポートでは、サンディエゴを始め、アメリカ及びカナダのバイオ事情について、横浜市ニューヨーク事務所が、現地の専門家に依頼してとりまとめた最新の情報をお送りします。
横浜市ニューヨーク事務所 所長 早川恵庸

◆◆◆ 2005年8月1日 ◆◆◆
カナダ・トロント市に医薬研究科学センター(MaRS Center)設立

 カナダ・トロント市の中心地は、トロント市の歴史より古いトロント大学のキャンパスが広大な敷地を占めているが、その一角、College StreetとUniversity Avenueに面したいわゆるトロントの「Discovery District」に、いま大きなビルが完成しようとしている。これはMaRS Centre (Medical and Research Sciences Centre)と称し、現在ほぼ完成したビルはその第1期工事に当る。この工事では、約70,000平方メートルの実験室とオフィスを持つ8階建て及び15階建てのビルが作られ、工事費1億8,300万ドルがつぎ込まれた。更に建設工事は進められることになっており、隣接した北西部にも新しいビルが姿を現すことになる。
 現在ほぼ完成した東側のビルには、トロント大学の6ヶ所の大病院(teaching hospitals)を結ぶUniversity Health Network及び同大学の付置病院の一つHospital for Sick Children の研究者が入る研究室のほか、弁護士、会計士、投資会社などのオフィスが、また南側のビルにはベンチャー企業(start-up company)、中規模のハイテク企業が実験室とオフィスを構えることになっている。
 これらのビルに入居することが決まっている主な組織は、CMDF(Canadian Medical Discoveries Fund)、Heenan Blaikie LLP、上記 The Hospital for Sick Children、Innovations Foundation (トロント大学の機関)、Interface Biologics社、MDS Inc.(MDX Sciex Division)、NPX Pharmaceuticals社、PricewaterhouseCoopers社、RBC Technology Ventures Inc.、RBC Financial Group (RBC はカナダ最大の銀行Royal Bank of Canadaの略) 、Transition Therapeutics社、上記のUniversity Health Network、University Health Network Business Development Office、University Health Network Global Ventures、 Vasogen社などである。
 研究活動に対しては既に、既に連邦政府が2000万ドル、州政府が2900万ドル、更に研究から得られると予想される6300万ドルが当てられることになっており、いくつかの民間企業も出資している。

 第2期工事は工事費1億7,000万ドルで、2007年半ばまでに、現在完成しつつあるビルの西側に総面積6万から8万平方メートルの17階建てのビルが建設される。このビルには主として確立された大企業が主として入居する予定である。

 MaRSは、革新的な医薬や医療に関する研究、開発活動の実施、そして得られた結果の商品化を目指して、政府・トロント大学などの研究機関、民間企業、地域社会との高いレベルでの協力を促進するのが目的である。MaRS Centreは広範囲のプログラムと活動のための一種の触媒としての活動を行う。
 MaRS Board of DirectorsのchairにはTorstar Corporationのchairman、Dr. John R. Evansが兼ねている。なおDr. Evans(医学博士)は、カナダの最もよく知られた知識人の一人で、43歳でトロント大学総長、その後は小生の在籍したAllelix Inc.、 Rockefeller Foundation、世界的アルミニウム企業Alcan社などのchairmanなどを経て、現在カナダ最大の発行部数を誇る新聞「トロントスター」などを抱えるTorstar Corporationの会長でもある。
 新しいビルには、テナントであるベンチャー企業のインキュベーターとして、設備の完備した42の研究室、44の家具付きオフィスが準備されているほか、各種ビジネスサービス設備、各種インキュベータープログラムなどが用意されており、現在その55%がリースされている。今年5月1日にはビジネス面でのMaRS Centreの活動が開始され、夏にはMaRS Collaboration Centre部門が開設、9月から12月にかけて正式な開所式が開かれる予定である。また2008年には第2期のMaRS Centreが開所される。

 横浜市の誇るインキュベーター設備よりは遅れたが、その規模と参加グループの多様さからみて、MaRSの設立によりこの国の医薬研究と実用化のスピードに拍車のかかることは疑いない。

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