|
|
◆◆◆ 2005年12月8日 ◆◆◆ |
バイオ医薬の大量生産設備は不足しているか? |
最近のGenetic Engineering Newsに、Fluor社のWei Huang氏が纏めているところによると、2004年度のバイオテクノロジー関連医薬、いわゆるバイオ医薬世界市場は、480億ドルと好調な伸びを示している。過去三年間でその成長率は、年間ほぼ20%に達している。
因みに2000年から2004年までの、世界のバイオ医薬の売上げは;
2000年:売上げ230億ドル、成長率16%
2001年:売上げ270億ドル、成長率19%
2002年:売上げ330億ドル、成長率23%
2003年:売上げ400億ドル、成長率21%、
2004年:売上げ480億ドル、成長率20% |
となっている。今後、特に癌に対するバイオによる新治療法が開発されると、この市場は益々大きな成長を遂げるものと予想されている。
現在世界では、200種類以上の病気を対象とした300種類以上のバイオ医薬やワクチンが臨床試験の最中で、2010年までにはすべての新承認医薬品の約半分は、バイオテク企業から生み出されるものと推定されている。
バイオ医薬品産業と製薬産業の成長を比較すると、次のようになる。
2000年: 世界の医薬品販売高 3540億ドル、成長率 6.6%、バイオの割合
6.4%
2001年: 世界の医薬品販売高 3920億ドル、成長率10.7%、バイオの割合 6.9%
2002年: 世界の医薬品販売高 4300億ドル、成長率 9.7%、バイオの割合7.6%
2003年: 世界の医薬品販売高 4920億ドル、成長率14.4%、バイオの割合 8.1%
2004年: 世界の医薬品販売高 5500億ドル、成長率11.8%、バイオの割合 8.7% |
バイオ医薬市場が成熟すると、新しい物質を見つけ出し臨床開発することばかりではなく、企業は製品を一日も早く市場に出すために、能率よく安価に生産できる大量生産手法の開発に力を入れるようになるであろう。製品の品質を変えることなく、設備や装置のデザインで、従来よりも効率的でしかもより利益が上がるように、種々の改良が必要とされてくる。
この目的を達成するには、培地組成や培養条件の最適化が重要な因子となる。また、優れたプロセスの分析技術も、生産段階へのスケールアップ促進上役に立つ。最近は、遺伝子発現、代謝、生育、哺乳動物細胞のアポトーシスなどに対する理解が深まったことも加わり、遺伝子組換え細胞による生産技術が著しく向上している。
例えば1990年代では、細胞生育の最高濃度は、2−5x106 cells/mlで、又これら細胞による蛋白の発現レベルも100−300
mg/l程度であった。しかし現在では、細胞濃度は1x107 cells/mlに達し、生産レベルも2−10g/lが普通となっている。
バイオ医薬産業は、バイオ医薬の生産能力を醗酵槽やバイオリアクターの容量で測る場合が多い。それによると、2004年度のバイオ医薬品生産能力は、約227万リットルとなる。生産能力とその需要とのバランスは、幾つもの不安定な要因が関係しているので、いつも問題になるところであるが、最近の予想では、今後5年間バイオ製品生産能力は48%ほど増加されるという。
当然のことながら、細胞による蛋白発現能が高まれば、必要とするバイオリアクターのサイズは著しく少くてすむ。例えば、200
mg/lの蛋白生産レベルでは、25,000 リットルの醗酵槽を40回動かすことで、回収率約70%として200kgの製品が得られる。若し細胞の生産性が200
mg/lから4 g/lに上昇すれば、同量の製品を得るには理論上だが20分の1の醗酵槽で済むことになる。このように大量生産を実施するために必要な工場の面積は、次第に縮小する傾向にあるようだ。
現在組換え蛋白の生産には、蛋白の構造や、トランスレーション後の修飾などの利点から主に哺乳類の動物細胞が使用されているが、これも価格や生産効率、タフさなどから多くのバイオ医薬品企業は微生物の利用に目を向けており、技術的にもこれが可能になりつつある。今後は微生物を宿主とするシステムの利用が、バイオ医薬市場の主流となるものと、Huang氏は予想している。連続培養の利用も設備面積の縮小に貢献するものと考えられる。
少し前、大量培養設備の不足が、バイオ医薬の組換え蛋白生産のボトルネックであると言われていたが、技術の進歩はこれを解消しつつあるように見える。
|
戻る
|