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◆◆◆ 2006年2月6日 ◆◆◆ |
バイオ企業経営のコスト |
北米とその他の国のバイオ医薬品企業設立のコンサルタントとして、長い経験を持つアメリカ、ニュージャージー州PrincetonにあるThe
Boyd Co.の創立者John H. Boydが、最近のバイオ企業経営にかかるコスト事情についてGen. Engineering
Newsに寄稿しているので、参考になれば幸いである。
Boyd社は、アメリカ、カナダヨーロッパの50の都市におけるバイオテクノロジー企業経営にかかるコストを比較している。ここで言うコストとは、ライフサイエンスに従事する研究者やその他の社員のサラリーや管理費、給与外特典、ユーティリティ費用、リース代、その他地域によって変わる操業コストなどを含んだものを称している。
バイオ企業を設置する場所について、既にバイオ産業の歴史が長い場所である、Boston、San Francisco、San
Diegoなどを取り上げ、一方、歴史の浅い地域としてヴァージニアのCharlottesville、ジョージア州Athens、ミネソタ州Rochesterなどを挙げて、両者を比較している。またヨーロッパにおけるバイオのセンターとしては、London、
Brussels、D殱seldorf、 Amsterdam、 Madridなどが調査の対象となっている。
ライフサイエンス分野の経営者にとって、操業にかかるコストは会社経営上非常に重要な問題であることは当然で、このコストは社会経済の動向、世界における自由貿易競争、政府による支援、質の高いライフスタイルなどが大きな影響を及ぼしている。
設置場所を探している多くのバイオ企業にとって、立ち上げ後間もなく大きな収入を得ることが期待できない場合では特に、経営に必要なさまざまなコストの削減が企業維持の上で唯一の道であるが、すでに高い収入を得ている企業ですら、出費を減らすことが重要な課題である。
バイオ企業設置を受け入れている都市でもそれぞれの操業コストの違いは大きいから、企業は他の要因と共にこのコストを考慮した上で設置場所を決定する必要がある。最近の調査では、アメリカの場合、カリフォルニア州のSan
Joseでは操業コストは年間1,120万ドルであるが、サウスダコタ州Sioux Fallsでは、840万ドルに過ぎず、その差はかなり大きい。
カナダでは、最も高いVancouverが920万ドルであるのに対し、Montrealでは850万ドルと、あまり大きな差は見られない。
ヨーロッパの都市では、高いところでドイツのD殱seldorfが1,300万ドル、安い方ではスペインの1,010万ドルといわれる。なおこれらの金額はすべて、100人の従業員をベースに実験室と事務所とを合わせて75,000平方フィートの広さを持つ企業を基準としたものである。
過去25年程の間、北米では税制優遇措置、種々のビジネス誘致のインセンティブ、規制緩和プログラムなどが企業を誘致する上で大きな魅力を与えてきたが、最近ヨーロッパでもこのような誘致プログラムを打ち出すようになっている。
現在、ドイツ、フランス、イギリスなどの巨大なバイオ医薬企業の多くが、バイオ関連プロジェクトを速やかにヨーロッパ各地に移転しようとしているのもその現れである。またアメリカ国内でも、ニューイングランドやカリフォルニア地域に存在する経費のかかる大ライフサイエンス産業センターから、国内のより小さく管理しやすい、かつ経費が少なくてすむ他の地域へと投資がシフトしているのが現状である。
その一つの例は、日本の麒麟麦酒と協力しているHemaTech社というポリクローナル抗体の開発を行っている会社は、もともとコネチカット州とマサチューセッツ州に研究所と本社があったが、人口20万人のサウスダコタ州Sioux
Fallsにこれら移転した。Sioux FallsにはUniversity of South Dakota Life
Science Centerがあるものの、今回の調査ではバイオ地域の中では、コストがもっとも低い場所となっている。
この他の例としては、日本の山之内製薬がサンフランシスコからオクラホマ州Normanへ、Dupont社の栄養部門がWilmingtonからアイオワ州のDes
Moinesへ移転し、サンディエゴのScrippsは最新のバイオ医薬研究所の場所として、フロリダのPalm Beach
Countryを選んでいる。
サウスダコタやフロリダのような州の個人所得税のない場所も、企業にとって魅力ある場所となっている。また、生活費、特に住宅購入費の安い小都市も魅力がある。Boston、
San Francisco、New Jersey、 Washington DCなど、もともとバイオ産業の盛んな場所の住宅費は一般に高価であり、このような場所では、若い能力のある研究者たちを集めるのが、難しくなっている。
カナダドルはこのところ強くなってはいるものの、未だバイオ産業にかかる経費はアメリカに較べて安い。カナダ政府が大きな負担をしているヘルスケア・システムは、人件費節約の一助となっている。アメリカでは、ヘルスケアに関連した給与外給付金がカナダに較べてかなり高いものになっているからである。
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